消費者信用新時代 第2部 消費者信用市場に吹き始めた新しい風

 
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第二部
 
 
 
 

莫大な超過利潤の一部資格者集中

 任意整理とは、債務者が債権者らと任意に協議して債権債務関係を処理することであるが、法律によらず、債権者債務者間での合意により処理するものであるから、本来、時間的にも経済的にも有利簡便な手続きとも言える。

 しかし、現実には、債務者である消費者の要請に、債権者が応じることは少ない。そこで、債務者の代理として、弁護士や司法書士に、債権者との交渉を依頼するということになる。この債権者との交渉を代理することを、弁護士法72条の「・・その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることが出来ない・・」という規定が、一般国民に対し、刑罰をもって禁止している。

 この禁止されている任意債務整理の中核的な事務である「過払い金計算や借金減額交渉などは、弁護士や司法書士でなくてもやろうと思えば誰でも出来る簡単な作業」(サラ金全滅・過払い金バブル狂乱 笠虎 崇 30P 共栄書房)である。そのことは、実務を経験した資格者の誰でもが知っている。

 元アイフルのトップセールスマンであった笠虎氏は続けて「弁護士一人当たり100人も事務員を抱えて業務を代行しているような弁護士事務所は、弁護士が名義だけ貸して資格のない輩に業務をさせる『昔の整理屋と同じやり口』としか言いようがない」と言うのだが、消費者金融に関する任意整理事務について見れば、弁護士一人いれば、法的素養、知識のない事務員を100人集めて大量処理も出来る、そのような仕事なのだということをも意味している。

 アメリカでは任意整理のような法廷外での事務は民間のコンサルタント事務所が受任するのが普通で弁護士の独占業務ではない。「弁護士一人いれば」というのは、弁護士法72条の規制の趣旨を逸脱するものというよりは、むしろこの規制を良いことに、この規制を利用して、独占の利益を享受しようとするものであろう。訴訟代理のような事務においては、「弁護士一人いれば、法的素養、知識のない事務員を100人集めて大量処理」というわけには行かない。

 弁護士法72条の「・・その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることが出来ない・・」という規制による借金債務整理事務からの民間人排除が、結局、不当な競争制限につながって、その結果、借金整理専業法律事務所の法外な収益を可能とさせているのだ。

「過払い金バブル」に狂乱する弁護士、司法書士事務所について「サラ金全滅」の著者 笠虎氏は、宇都宮弁護士と同じ視点から非難しているが、国民、債務者の利益から見れば、「過払い金バブル」の原因である独占、過剰な競争制限により弁護士の得る超過利潤とその一部事務所への集中、それを可能にしている、弁護士法72条の「・・一般の法律事件に関して・・代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることが出来ない・・」という規定を削除する、又は消費者金融に関する任意債務整理事務について、簡単な新資格を作って広く民間人の参入を認め、その競争によって債務整理費用を安くする。

 その結果として「過払い金バブル」に狂乱する弁護士、司法書士事務所から、彼らが得ている超過利潤を剥奪する。「過払い金バブル」の狂乱に終止符を打つには、これが最善の策であり、これしか方策はないのではないか。

 かって、宇都宮弁護士が指導する「クレサラ被連協」の人たちが、特定調停制度が議員立法で制定施行されたときに、この制度を利用して、債務者が自分自身の力で債務整理することを熱心に勧めていたことを思い出すが、任意債務整理事務の民間開放で真っ先に助かるのは「クレサラ被連協」の人たちではなかろうか。クレサラ被連協事務局長の本多さんは、以上のような私の提案をどのように思われるであろうか。

 債務整理過払い金返還請求事務について、弁護士司法書士に頼まなくても、全国の被連協の人たち、支援者が、安い費用で債務者の救済を出来るということになる。正義の宇都宮弁護士もきっと賛成されるはずである。

        

独占起源の資格者非行は終わらない

消費者金融についての任意整理(債務整理)事務を民間に開放するについては、債務者の立場を弱くするおそれがあるし、不平等で不公正な和解案が作成される可能性もあるといったような批判が当然に予想されるが、これも業務の資格者独占を正当化するための決まり文句と言える。

 確かにそのような危険はあるが、消費者の弱い立場に乗じて仮にそのような債権者よりの和解案が作成された場合には、その和解案を取り消すなり、無効を法的に主張して消費者は救済されるし、増員された弁護士や認定司法書士によって、司法的救済の道も広がっている。又、すでにインターネットのブログやサイトで法律事務所や司法書士事務所についての情報が公開されているし、民間借金整理コンサルタントが登場しても、資格者との競争と情報公開のもとで、不良事務所は自然に淘汰されるはずである。

 債務者の負担するリスクと拡大した選択権により得るはずの利益を比較すれば、リスクについては対処手段もあるし、競争により得られた価格低減による利益の方が明らかに大きい。「サラ金全滅」の著者、笠虎氏によれば消費者金融が「グレーゾーン金利で貸し付けている残高だけでも3兆5296億円あり(2009年11月末時点)、融資全体の4分の1を占めている」(サラ金全滅・過払い金バブル狂乱 笠虎 崇 19P 共栄書房)ということだ。「過払い金の潜在市場はまだ30兆円ある」とも言われている。

 「弁護士や司法書士は、20%以上もの高金利で貸したサラ金を悪徳だと批判し、多重債務者の味方のふりをしているが、彼らが過払い金返還で多重債務者から召し上げる報酬はなんと20〜40%、20%は高利だと批判している弁護士・司法書士が20%以上の高報酬を取っているのだから、正義の味方も多重債務者の味方もあったものではない」と笠虎氏は憤慨する。

 仮に笠虎氏が言われるように過払い金の潜在市場が未だ30兆円もあるというのであれば、弁護士法72条だけを理由に、この巨大なサービス市場から、資格者外の国民参入を排斥するのは不当である。このままでは、笠虎氏の憤慨が、国民世論となるのは時間の問題ではなかろうか。

 「過払い金返還交渉を行うための『行動費』として司法書士に毎月10万円取られた挙句、過払い金が戻って来ない。債務整理を依頼した弁護士に、3年間、毎月6万円支払うよう求められた。過払い金返還請求を依頼し手数料を先払いしたのに、半年、1年たっても何の音沙汰もない。貸金業者から入手しているはずの取引履歴の開示に弁護士が応じない。債務整理を依頼したにも関わらず過払い金返還請求だけは引き受け、ヤミ金事件は取り扱ってくれない」(「サラ金全滅」27P)等々、債務整理をめぐる資格者の非行の数々が列挙されている。

 司法試験合格者400人、司法書士試験370人時代には素人が見ても解読できない料金規定はどちらにもあったが、法律事務と登記事務の独占は完璧であったから、「先生」の依頼者への請求は一方的で、ようするに客を舐めた「ごっつぁん体質」が染み込んでいた。

 司法制度改革でその「先生」たちがサービス市場に突っ込まされたのだから、上記のような非行が頻発してもおかしくはないのだ。消費者信用という金融市場は30年して日本から無くなるのかも知れない。しかしそれと並行するかのように、弁護士だけではない、司法書士も、このままでは国民から信用を失ってしまうだろう。この資格者の市場からの信用喪失に関しては、左翼も右翼も関係ないのである。

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