消費者信用新時代 第5部 多重債務者向け生活建直し資金貸付け制度始まる

 
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  第5部 多重債務者向け生活建直し資金貸付け制度始まる
 
 
 

多重債務問題改善プログラムは、全国の自治体を基盤とした多重債務者相談ネットワークの構築に加えて、多重債務者向けの緊急融資制度の構築もその重要課題としてあげている。「借りられなくなった人に対する顔の見えるセーフティネット貸付けの提供」と題した提言は、次のようにその取り組みの基本について述べている。

「(1) 基本的考え方 消費者が貸金業者等からの債務の返済に窮した場合の対応としては、まずは丁寧な事情の聴取と債務整理等も含めた解決方法の検討が必要であるが、その上で、自己破産・個人再生等の債務整理とあわせて、あくまで多重債務問題解決の一つの選択肢として、セーフティネット貸付けの提供についても検討が必要である。また、セーフティネット貸付けを行う場合でも、対応の前提として、丁寧な事情の聴取と具体的な解決方法の検討が十分に行われるように、相談窓口とセーフティネット貸付けを行う主体とのネットワークの構築や連携の促進が必要である。」

私も、セーフティネット貸付の必要性については、すでに法律新聞紙上でもしばしば指摘してきたところであるが、これまでの弁護士会、司法書士会の主張にはこの部分が全く抜けていた。議論すらされてこなかった。何故なのか、これも興味ある研究テーマではある。債務整理手続き費用については所得要件を満たせば法テラスから法律扶助金を借り入れることが出来るが支給要件は結構厳しい。管財事件になったときの費用は支給対象外であるし、住宅ローン特例の適用を申請しようとしての高順位不動産担保抹消のための費用などは借りることは出来ない。破綻に至る以前の段階での低利融資による借り換えローン、いわゆるおまとめローンなどは、セーフティネット貸付の柱となることが予想され、多重債務者の早期救済に重要な役割を果たすはずだ。しかし、あくまでも貸し付けは、多重債務状態からの脱出資金に限定すべきであり、安易な融資は逆に多重債務状態の先延ばしにつながる恐れがある。

以下、プログラムは具体的な提言として「(2)『顔の見える融資』を行うモデルを広げていく取組み」について次のように述べる。

『顔の見える融資』

1 高リスク者の受け皿となる消費者向けのセーフティネット貸付けを充実させる際には、それぞれの地域において、『顔の見える融資』(相談者との顔の見える関係を構築することによって、相談者のリスクを下げる地道な努力としての、丁寧な事情聴取、具体的な解決方法の相談、事後のモニタリングを前提として、返済能力が見込まれ、多重債務問題の解決に資する場合に限って、低利の貸付けを行うこと)を行う、いわば「日本版グラミン銀行」モデルを広げていくよう取り組む。(関係省庁)」

多重債務者への低利おまとめローンについては、この新しい金融市場にすでに民間金融機関が数十社ひしめいている。その老舗である東京スター銀行は、最近テレビのコマーシャルでも「現在のお借入金利が利息制限法の上限を上回る場合は、過払い金が返還されるケースがありますのでご留意下さい。詳しくは、お近くの消費生活センター、弁護士会、司法書士会等にご相談下さい。」と注意を呼びかけている。年利6.8%からなどというところも出てきて驚きだが、貸し付けはあくまで申込み多重債務者の信用状態によるので民間版おまとめローンが多重債務問題の解決にどれほど貢献できるのか今後の推移を見なければ分からない。「日本版グラミン銀行」は、こうした民間のカバーできない人たちの救援を目的とすることになるが、「日本版グラミン銀行」低利融資は、民間融資機関相互の競争を活性化するについても良い影響を及ぼすことになる。

「日本版グラミン銀行」モデル

「日本版グラミン銀行」モデルについて、プログラムは「こうした貸付けを行う主体としては、きめ細かい相談対応が前提となることから、各地域に根付いた非営利機関(生活協同組合、NPO、中間法人等)や民間金融機関(労働金庫、信用金庫、信用組合等)を想定する。」としている。

非営利機関(生活協同組合、NPO、中間法人等)についてみれば、東京においてはすでに「生活サポート生活協同組合・東京」が発足し、その協同組合が斡旋する融資機関「有限責任中間法人 生活サポート基金」が今春、3月より融資活動を開始している。

当事務所でもすでに2名の相談者に「生活サポート基金」を紹介し(H19・5月現在)、融資を受けている。一件は個人再生案件、一件は債務整理案件であった。債務整理案件の場合には、利制法引きなおし債権額確定後、経過利息なし36回分割弁済の場合、割引一括弁済の場合、一括弁済融資金を3年分割、年利12.5%(現在 生活サポート基金の金利は12.5%とやや高いが今のところ調達コストが高いためにやむをえない。今後、各方面からの支援によってこの金利を9%以下にすることが目標だ)で受けた場合の3ケースにつき計算表を作成し、それを相談者に提示して、もっとも有利なケースを依頼人が選択し、その選択によって融資を受けた。

当然に当事務所では融資斡旋料などは受け付けないが、今後、このような「日本版グラミン銀行」が多数出現することが予想される。その場合、弁護士や司法書士が融資案件を持ち込んだ際に、融資斡旋料を受け取るなどということが生じるかもしれない。これは多重債務者の選択権に偏頗な影響を与えることになるから好ましくないと考える。多重債務者からの苦情も噴出することであろう。弁護士、司法書士はあくまで依頼人の利益の立場に立つということがその職責である。「セーフティネット貸付」の利用により得られる多重債務者の利益は大きい。例えば、事前に業者請求額全額を「日本版グラミン銀行」から借入れ一括弁済し、その後に利制法で引きなおし計算して過払い金をあらためて業者に返還請求し、戻ってきた過払い金を借入金の弁済にあて残額を「日本版グラミン銀行」に分割支払いしてゆく。こうしたことが可能であれば、多重債務者は、所謂、ブラック情報には登録されず信用も傷つかずに済むことになる。

経験によれば、今後、当事務所でも多重債務者への融資斡旋件数は相当に増えるものと見込まれる。それで、「セーフティネット貸付」を利用した場合の有益なサービスモデルを現在いくつか考案中である。一方、斡旋者の責任としても、融資案件持ち込み前に、十分に依頼者の事前審査はしておく必要がある。当事務所での分割手数料の回収状況はそれほど悪くはないので、焦げ付きの心配はしていないが、それでも依頼者に「セーフティネット貸付」利用の実益につき十分具体的に説明すると同時に、依頼人の返済資力についても慎重に事前チェックをしておく必要がある。安易な斡旋は、多重債務者の生活更正も妨げることになりかねない。

貯金を指導する

多重債務者の多くは、4〜5年から10年、場合によればそれ以上の期間、消費者金融からの借入返済を繰り返して来ている。借入金の一部は生活費にもあてられるから、キャッシュフローから見れば案外潤沢であったりすることもある。返して借りるの生活は、一時的ではあるが、実際の所得以上の生活を可能にする面がある。それで借入と借金の持つ危険についてはすっかり鈍感になってしまっている場合が多い。それを是正し、家計の正常化をはかるのが債務整理に携わる専門家の仕事とすれば、依頼債務者の新たな借入を抑制し、むしろ例え少ない所得の中からでも毎月、5千円、1万円を貯金してゆく、そのような方向に導いてゆくことが重要だ。従って、「セーフティネット貸付」は、あくまで多重債務問題の解決に資する場合に限っての貸付でなければならないのである。

成功例としての岩手信用生協

日本版グラミン銀行の立ち上げについて、プログラムは「例えば、岩手県消費者信用生活協同組合のように、非営利機関(生活協同組合、NPO、中間法人等)が新たに高リスク者への貸付けを行う場合に、その原資を集めるには、公的な信用付与が必要と考えられる。その場合、公的資金を直接拠出する形をとると、貸し手側にモラルハザードが発生するおそれがあるので、例えば、当該非営利機関に融資を行う金融機関に自治体が預託金を預けるといった岩手県消費者信用生活協同組合の例が参考になると考えられる」としている。

岩手県消費者信用生活協同組合については、オピニオン欄でも紹介してきた。今回の貸金業法の大改正で、その存在と実績がはじめて政府の改正方針の中で紹介されることになった。この岩手県消費者信用生活協同組合の活動と成果については、宇都宮弁護士率いるクレジットサラ金対策協議会を始め弁護士会も司法書士会も長いこと批判的で、今日でも積極的にこれを評価しようという姿勢は見られない。

弁護士会司法書士会は融資に大反対

その批判の根拠は、弁護士司法書士の介入により成立した分割支払い契約においては経過利息をとらないのに、岩手県消費者信用生活協同組合の貸し付けにおいては多重債務者に金員を貸し付けて利息をとっている、さらに、家族保証人をとるという面においても問題があるという点にあった。

弁護士界、司法書士界の否定的評価にも関わらず、多重債務者の選択によって、岩手県消費者信用生活協同組合が着実に発展、自治体からの支援も受けられるようになったのは何故であろうか。それは、借りたものは返したい、信用を保持したい、法的介入を避けたいという国民の心情を汲み取り、その切実な需要に応えてきたからに他ならない。やせたソクラテスには庶民の心情はわからない。

先進国では?

イギリスにおいてもカード破産や多重債務問題は大きな問題とされてはいるが、わが国とは違って、法律家がこの問題に介入するケースは例外的なケースとされている(英国貿易産業省「21世紀の消費者信用市場・・公正、透明かつ競争的な市場を求めて」2003年12月)。

多重債務問題の解決が、何故わが国では、弁護士の独占、後に弁護士、認定司法書士の独占ということになったのか。これには弁護士法72条の問題もあるが、それ以上に、わが国の消費者信用市場では、貸金業者間において金利競争が十分に機能していなかったところにも問題があった。おまとめローンが今でこそ活況を呈しているようだが、イギリスでは低利切り替えのための金融業者が多数あり、多重債務者の多くは一時の高利借入を、収入安定時に長期低利の借入に切り替えるというような方法で問題を解決している。

また、公的団体による生活緊急融資の活動も活発だ。一時、弁護士司法書士業界では何でも自己破産という風潮があった。自己破産で法律上の不利益はないのだから、債務整理で、3年、5年と分割弁済を続けるより、自己破産してさっぱり再スタートした方が債務者のためという考え方だ。これにも一理はあるだろうが、踏み倒しは債務者の心にやはり消しがたいトラウマを残す。最近の読売ウイークリーで、「踏み倒し列島」という特集が掲載されていたが、安易な自己破産は今一部に広がりつつある消費者間のモラルハザードを拡大することになりかねない。

多重債務者から金利をとるのかという感情論は、救援融資の機構維持や事務職員の給料をなしにせよと主張しているのに等しい。自分の職域と利害には人一倍細心鋭敏ではあるが、一般国民にはやせたソクラテスを求めるのが法律業界人の悪いくせだ。多重債務者の救援と家計の再建を目的とする「日本版グラミン銀行」だが、これもビジネスであって、融資資金を庶民の浄財と無報酬のボランティアとで運営するといったものではない。貸付額が一人平均150万円とすれば1000人に貸し付けるのに15億円必要となるし職員も10人は必要だろうから人件費は年間少なくとも5千万円は必要となる。そこでプログラムは、貸付金の原資を調達する方法として「当該非営利機関に融資を行う金融機関に自治体が預託金を預けるといった岩手県消費者信用生活協同組合の例」をあげている。

生活サポート生活共同組合東京の場合

岩手信用生協東京版「生活サポート生活共同組合」の場合、目下のところ貸付金利は12.5%と高いが聞けば調達コストが7%と高いので現状では仕方がない。設立段階では労働金庫がオブザーバーとして参加していたが、今のところ労働金庫からの融資はない。しかしこの状況も政府のバックアップいかんで早急に改善されて行くことだろう。「21世紀の消費者信用市場・・公正、透明かつ競争的な市場」とするために、さらにこれから考えられるべきなのは、市民出資の「市民バンク」の創設だ。5月10日、アコムが大手では初めて上限金利を18%とすると発表した。改革の第一歩ではあるが、しかしこれで消費者金融業者間で金利競争が展開されるかと言えば疑わしい。利息制限法金利の上限に再びはりついてしまうだろう。この状況を変えるためには市民の出資によって運営される市民バンクが多数登場する必要がある。日本の庶民金融では無尽から成長した相互銀行や信用組合という伝統もあったが今ではその伝統は忘れられ、普通の金融機関になってしまった。

自治体等の消費者向け融資制度は

自治体等の消費者向け融資制度は従来から存在していたがその活用についてプログラムは「1 既存の消費者向けセーフティネット貸付け(地域の社会福祉協議会による生活福祉資金貸付等の制度、自治体による母子寡婦福祉貸付金制度、労働金庫による自治体提携社会福祉資金貸付制度等)についても、丁寧な事情聴取、具体的な解決方法の相談、事後のモニタリングを前提として、返済能力が見込まれ、多重債務の予防・悪化の防止に資する場合に限って、低利の貸付けを行う取組みを進めることにより、受け皿としての活用を促進する」としている。従来の消費者向け融資の対象に多重債務者の生活再建資金への融資を加えるということである。東京都にも消費者への貸付制度はあったが、その事務を代理している労働金庫では多重債務者の債務整理に必要な費用などの貸し付けについては出来ないということであった。これを可能にしようというわけだ。

2として「地域の社会福祉協議会による生活福祉資金貸付け、自治体による母子寡婦福祉貸付金制度の実施に際しては、利用促進と貸倒れ抑制の両立を図るため、制度の周知を図るほか、事前相談や事後モニタリングを充実させるとともに、貸付けにあたって、必要な場合には、弁護士等多重債務問題の専門家への紹介・誘導を図る。

このため、生活福祉資金貸付については、例えば家庭訪問等により相談を行なう民生委員に対し、債務整理等に関する知識を周知するための研修を行うとともに、弁護士会等との提携を強化する。」さらに3として「生活福祉資金貸付けについては、貸付実績が少額である現状にかんがみ、地域の関係機関とも連携して、制度の周知を行うとともに、関係機関が対象者を確実に誘導し、返済能力が見込まれ、多重債務の予防・悪化の防止につながるニーズを確実に満たすよう、積極的な活用を促す」とあり、多重債務者の生活再建資金として、生活福祉資金についてもその積極的活用を指示している。

生活保護と最低賃金制度

多重債務者問題解決の観点から生活保護制度と最低賃金制度のあり方についても(4)として次のように述べている。「所得そのものが低い者を対象とした社会保障の最後のセーフティネットである生活保護については、受けられるべき生活保護が受けられずに高金利の貸付けがそれを代行するといった事態が発生しないよう、適正な運用を図る。また、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障する安全網として一層適切に機能すべきという観点から、「最低賃金法の一部を改正する法律案」を第166 回通常国会に提出したところであり、同法案の成立後は、その円滑な施行に向けて、改正内容の周知を図る」。生活保護については、受けられるべき生活保護が受けられずに高金利の貸付けがそれを代行するといった事態が発生しないよう、適正な運用を図るとあるが、受けられるべき生活保護が受けられない人たちに高金利の貸付けをしてきたのが街金融やヤミ金だったのである。

以上、今回の貸金業法改正は、多重債務者問題を、国民経済と健全な社会回復の問題としてとらえた、対症療法的な問題としてではなく、総合的な治療を要する問題としてその解決指針を提起した画期的なものとなった。あとはこのプログラムに示された課題が、新貸金業法完全実施の3年後までにいかに実行されその成果をあげることが出来るかという問題だけが残される。全国的な多重債務問題相談ネットワークの創設と生活再建融資の拡大充実により国民を多重債務の罠から解放し、家計の健全化をはかるというのが貸金業法大改正の目的であるが、プログラムの随所に「弁護士等多重債務問題の専門家への紹介・誘導を図る」という言葉が出てくるように、この課題の達成に、弁護士、司法書士の積極的な貢献が大いに期待されている。2007年4月号の消費者法ニュース71号の44ページには「生活困窮者にとって、多重債務問題あるいはヤミ金問題は、彼ら彼女らが抱える様々な問題の一要素にすぎない・・・従って、そうした人たちにとって多重債務問題だけ、あるいはヤミ金問題だけを解決しても、あまり意味がない。生活困窮者達が抱える問題を、一つ一つ解決していかなければ、最終的な解決には至らず、場合によっては解決したはずの多重債務問題を再び抱え込んでしまうことも多々ある」との社会福祉事務所に勤務するケースワーカーのコメントが掲載されていた。この言葉は、弁護士司法書士に向けられた言葉でもあると考えるべきであろう。

最終章  国民の教育

プログラムは最後に「現在の多重債務者救済のための相談体制の整備等とともに、対策の車の両輪となるものが、多重債務者発生防止のための教育であり、極めて重要な課題である」として「多重債務者発生予防のための金融経済教育の強化」を実行プログラムのひとつとしてあげている。

その内容としては、例えば「社会に出る前に、高校生までの段階で、全ての生徒が、具体的な事例を用いて、借金をした場合の金利や返済額、上限金利制度、多重債務状態からの救済策(債務整理などの制度や相談窓口の存在)等の知識を得られるよう取り組む。そのため、まず、当面の対応策として、各学校のホームルーム活動等において、借金に関する問題について取り上げるよう促すことを検討する。さらに、現在改訂作業が進められている高校の家庭科の学習指導要領において、多重債務問題について取り扱うことを具体的に検討する。学習指導要領の見直しの内容を踏まえて、担当の全ての教師がこうした問題を教えることができるように、教員養成課程のカリキュラムに組み込むとともに、現職の教員への研修等を行う」などとしている。

豊な社会での消費者金融

230万多重債務者の問題が、健全な家庭生活、その基礎をなす家庭経済生活に危険を及ぼす深刻な問題であるということがようやく国民に理解されるところとなった。

本来物を生産しない消費者にとって、金融というものは無縁な存在であるはずだった。しかし豊な社会においては、将来の収入を担保に消費者も又資金を借り入れて様々な消費手段を購入し消費生活を豊かに展開しようとする。住宅ローンに始まりカーローン、教育ローン、旅行やレジャー資金、高額日常生活用品などだ。

つまり今日の消費者、生活者はまるで企業家のように借入金、貯蓄、投資のバランスを考えた上で家計を運営して行かねばならなくなった。暮らしの変化を見るには映像による歴史を見るのが一番だ。大正時代、戦前の日本、終戦直後の日本、60年代の日本、暮らしを観察できる映像は豊富にある。また古いドラマ映画を見ても勤労市民の環境がいかに変わったか良くわかる。格差社会が良く論じられるが時代を遡れば遡るほど富者と貧者、高級公務員と労働者の格差は大きい。明治維新にも関わらず階層社会の構造は今日に至るまでそれほど変わっていない。階層と団体に個人が埋没していた、それが今日までの日本だった。

しかし、生産力が増大し流通システムが高度化して行くうちに、国民の一人ひとりが豊かとなった。この豊かさを背景に、階層や団体に距離をおいた個人がやっと登場してきた。階層や団体から個人の選択が自由になれば、その選択には自己責任が問われるしリスクも引き受けることになる。自由の代償としての選択責任をたなにあげて一方的に国や行政の無能を批判することは出来なくなる。情報デジタル化社会のひろがりは今進行中であるが、このような独立し自立した個人が21世紀日本の主役となって行く。

しかし、これまでそのような福沢諭吉や夏目漱石の描いた自由と責任ある独立した個人として成長して行くような教育は、小中高の教育では全くなされてこなかった。この自由社会を支えているのは市場経済であって、市場経済は契約とその実行を担保する裁判所より構成されている、そして契約は自由平等な意思による申し込みと承諾の意思の合致により成立する、このような常識も教えてこなかった。目先消費者教育も重要だが、その前提として、そして豊かな社会の担い手として、経済的な自立人、合理的計算の出来るホモエコノミクスを作り上げるための基礎教育こそ重要だろう。

 

 
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