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  司法書士試験受験生よりの便り 3
 
 
 

(2) 司法書士に簡裁代理権が付与され、市民に身近なホームロイヤーとしての活躍に期待する声が上がっているようですが、その期待にこたえているのか、実際の姿を教えてください。

さて2番目のご質問に答えることにしよう。平成14年に司法書士法が改正され、簡易裁判所において司法書士が弁護士のように法廷で依頼人を代理して弁論をすることが出来るようになった。法の定めた特別の研修を受けて小論文式試験に合格し法務大臣の認定を受けた司法書士が、認定司法書士として法廷に立つことが出来るようになるのだが、その最初の法務大臣の認定が平成15年7月28日にあり、その日から、簡易裁判所における司法書士の弁論が実際にスタートしたわけである。

それから間もなく2年となる。衆目を集めるような成果が上がっているとは言えないかも知れない。しかし、何事もそう単純にはことは運ばない。「市民に身近なホームロイヤー」という言葉は、制度改正前の司法書士の理想として叫び続けられて来た言葉だが、その悲願が現実の法的な制度として今日、実現した。が、その制度を充実させ、現実に機能させてゆくのは、これからの司法書士の努力と実績の積み重ねにかかっているのである。広く社会から支持を受けその期待にこたえて行くためには今しばらく時間を要することになるだろう。

もっとも、法改正以前から、法で認められていた裁判書類の作成権限を武器として、本人訴訟や自己破産等債務整理案件を苦労しながらすでに手がけていた司法書士にとっては、この訴訟代理権が実務上大きな助けとなった。そして、実際にも、このような司法書士を中心に裁判上、裁判外での債務整理事件の受託件数が飛躍的に急増している。

法改正以前には、司法書士には裁判書類の作成権しかなかったので、任意整理含めた債務整理一般の法的処理の分野は弁護士の独壇場というところであった。この巨大かつ多重債務者にとって切実な需要を満たすべき法的サービスの市場が、簡裁訴訟代理権のおかげで突如司法書士に与えられたのである。その市場に不動産不況に苦しむ認定を取得した多くの司法書士が参入した。その提供するサービスの実質は、始めたばかりなのであるから、当然に経験も知識も不均質であり、これに対して、業界内外関係者間には、国民利益重視のもっともな批判もあるが、国民の利益とは無縁のこれまでの既得権侵害に対する危機感を正当化しようとするばかりの屁理屈や、意地の悪い嫉妬まじりの中傷に至るまで、実に様々な声があふれている。

しかし、とにかく何よりも司法書士の手続き費用は弁護士よりもはるかに安いので、司法書士弁護士間の競争の結果、結局、自己破産含めた債務整理手続き費用の相場を、司法書士の簡裁訴訟代理権は、往年の、つまり4〜5年前の半額くらいに下げるという国民、消費者にとり大きな成果をあげたのである。司法書士の簡裁訴訟代理権は、司法サービスの分野にも競争原理を導入するという司法制度改革のもとで実現したものであるが、消費者金融市場の健全化と債務整理手続き費用の競争による低廉化という国民、消費者の利益実現に、目立たないが実はきわめて大きな貢献をしたのではなかろうか。

債務整理についてみると、事務員3名の私の小さな事務所で、昨年上期(1月〜6月)には、業者請求債権額合計1億2106万円に対し、利息制限法引きなおし後和解確定額合計5132万円、結果として多重債務者の得た利益は6813万円となった。下期は、それぞれ1億1640万円、3729万円、獲得利益額合計は7867万円であった。なお私の事務所では獲得利益に対する成功報酬金は頂いていない。私の場合、東京簡易裁判所が多いが、法廷には週に2〜3度行く。事件の大半は、クレサラ案件だ。簡易裁判所は消費者金融業者の機関と化しているという皮肉を言う人もいるが、消費者側代理人として認定司法書士がもっと活躍するようになれば簡裁への言われ無き批判もなくなるだろう。

他に、未払い給料請求や請負事件など一般事件も受任したが、私の事件で今一番重要なものは、7月28日東京地裁で判決のある「情報コントロール権侵害事件」だ。東京簡易裁判所での勝訴判決は「判例時報 1886」(平成17年5月11日号)の97ページから105ページに掲載されている。今まで不明確であった「情報コントロール権」を権利として地裁判決が正面から認めてくれればと私はひそかに期待しているのだが。

登記と訴訟とはその知的構造が全く異なる。訴訟代理権を得るための特別研修で知るのは実はこのことである。認定司法書士制度スタートから2年を経て、早くもせっかく得た簡裁訴訟代理権という刀も抜かないうちにさび付き始めた人たちも少なくない。これはある意味予想されたことでもあるだろう。新制度のもと2割が簡裁訴訟代理人として残ればこの新制度は成功であると私は思う。それらの人達は法曹合格3000人時代が来ても、簡裁訴訟代理の専門家、つまりあなたのいう「市民に身近なホームロイヤー」として増員弁護士たちのなかでも独自の存在として社会から認められ必要とされるであろう。

 
 
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