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  司法書士試験受験生よりの便り 4
 
 
 

(3) ホームページを拝見し、業務案内の内容が私の憧れる「身近なホームロイヤー」像でした。勝瑞事務所の実際の仕事ぶりにつき教えてください。

というものだ。

私は、平成2年、15年前に東京五反田で開業し、登記専業のごく普通の司法書士であった。バブル崩壊は予想していたが、まさか銀行が倒産し、不動産担保中心の金融システムが崩壊するなどとはさすがに考えてはいなかった。人生90年、30年サイクル3回時代が私の持論で、3回目の人生を体力気力あるうちに早く迎えようと、45歳で司法書士になったのであった。

先生と敬称され営業もせず机に座って好きな本を読み、補助者に申請書を作らせて、休みの日には、釣りに行く、このような後半の人生を想定していた。誰しも考えることである。ところがバブル崩壊後の日本を襲った経済のグローバル化の荒波は、そのような夢を粉々に砕いてくれた。

司法書士不況は1998年、長銀、日債銀倒産頃から本格化し、それまで1000万円以上の売上げのあった標準の司法書士の売上げが1000万円を切るようになり、この経営不振は2005年の今日に至るまで続いている。事務補助者へのまともな待遇などを考えれば、2000万円の営業収益を上げなければ、子供を私立大学に行かせることも困難と成る。平均年収1000万円に近いと言われる中堅公務員に比べれば、司法書士事務所経営はまことに厳しいということである。

不動産不況の上にさらに加わった衝撃は、司法書士業者相互間の営業競争の自由化であった。価格競争と広告に関する規制廃止は、旧来の市場が縮小する中で実行されたから、マンション等の大量案件においての相見積りが常識化する、利用者からの価格についての要求がより厳しくなるなど、供給独占時代の反動は大きい。しかし、この営業競争の自由化は、顧客に対し尊大で不効率な事務所を淘汰する反面で、営業努力にかける新規参入の司法書士にとっては、大いなるチャンスをもたらす福音となった。

また経済のグローバル化は、規制業者、司法書士にとってマイナスばかりではなかった。ガットウルガイラウンド、専門サービス業自由化条項批准にともなう市場競争原理の導入、その文脈の中で進行した司法制度改革は、規制から解放された資格業者に、新しい市場を提供するというプラス面ももたらした。認定司法書士制度と認定司法書士に与えられた巨大な債務整理という法律サービス大市場がその一例である。

しかしそうした営業開発上のツールの獲得や新市場の提供も、それを獲得するための特別な努力と実行と勇気、正義への信念が不可欠であるのは当然である。私は、1998年、平成10年1月、日刊ゲンダイに「自己破産」の価格入り三行広告を出稿して以来、7年にわたり、ハローワーク前でのチラシ配り、電車内の広告、駅張り広告、タウン誌、インターネットのホームページ等様々な広告を試みた。その広告費用、投資額も相当なものになるが、そのような投資の失敗と成功の積み重ねによって、初めて多重債務者がどのようなサービスを求めているのか分かるのである。それにより得たノウハウは、事務所の財産となって行く。

そして「安くて」「親切」をモットーとする当事務所のサービスは、利用者の支持を得て、利用者からの知人紹介の市場という、メデイアよりもさらに効果的な市場が、自然に形成されて来たのであった。インターネットのホームページも、2000年の3月に第一号を作り、5年後の今日4回目のバージョンアップをするに至った。サイトの原稿は全て私が書いているが、それが当事務所のホームページの強みと思っている。

極東に浮かぶ2000年の歴史ある四つの島、人的資源以外に資源の無い日本国は、弥生式の集落から2000年を経て、やっと衣食住に不自由しない国となった。日本人の特性と言われる集団埋没型個人の時代、それは資源配分の厳しい貧乏のもたらしたものであるが、欠乏の時代は今や終わろうとしている。平和のもとで獲得された生産力と自由貿易、資本取引を基礎にして、今、日本国は、集団と階層、権威の時代から、選択の自由と自己責任、契約により社会関係を形成する個人の時代に決定的に移行しつつある。

「身近なホームロイヤー」は、そのような豊かで知的で幸せな人々よりなる日本国へ、スエーデンとアメリカをミックスしたような国への移行に、その努力を尽くすのである。そしてさらに、司法書士は、開業した以上、求められる法律専門知識に十分習熟するのは当然として、事業体としても自立し、家庭を維持し、事務員の待遇も改善し、税金も納めなければならない。そのためには営業収益を上げる努力もしなければならないし、顧客獲得をめぐる同業者間競争にも打ちかたねばならない。とすればマーケテイングや経営学、会計学の知識も不可欠となるのである。

規制依存時代の司法書士ビジネスモデルは、今や、貧困化窮乏化のモデルとなったといえる。憲法上では国民が神様だが、サービス業ではお客様が神様なのであり、これは豊かな社会における普遍的原理である。

 
 
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