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  司法書士試験受験生よりの便り 5
 
 
 

質問の4は「司法書士さんのお仕事は、やはり登記に関する業務が主流なのですか?」というものだ。それに答えよう。

私の事務所は今でこそ訴訟関係業務7、登記業務3の割合となっているが、訴訟関係業務が登記業務をしのぐようになったのは2000年頃、5年前のことである。それ程以前のことではない。今日でも大半の司法書士事務所ではその業務の大半は登記に関する業務で、先進的な事務所では訴訟関係業務の取り組みを増やそうと試みてはいる。

しかし、法務大臣の認定を受け簡易裁判所の訴訟代理権を取得した司法書士が、最初に直面するのは、同じ法律を適用するビジネスであるのに、その問題解決の目的、事務処理過程、思考方法が、登記と訴訟では、全く異なるという事実である。登記的センスで、支払い督促を代書出来ても準備書面を書くのは必ずしも容易ではない。例えば法律の解釈の仕方も全く異なる。登記は本来的に行政執行の一部、国民の給付請求権の代理であるから、法律や規則を解釈するに付いても、もっぱら文言解釈、論理解釈といった形式面にかたよる。

ところが民事訴訟では、生活事象の法律解釈、権利義務構成がいきなり問題となってくる。その上、その判断の基礎には利益考量という実質判断がある。また新法を訴訟で活用しようとする場合には、有権解釈としては判例しかないし、法務局長の通達などというものもない。そのために、認定司法書士自らがその新法の制度趣旨を理解し個別規定を解釈して現実にそれをあてはめ、法廷でそのことを主張立証しなければならないのである。つまり、認定司法書士の法解釈が正しいかどうかの判定は、裁判所が判決の形式で行うのである。2003年7月末に認定司法書士が誕生して以来、間もなく満2年となるが、認定資格を得た司法書士が知らされたのはこのことであった。

一方、登記業務においても激震が走っている。それは登記業務のIT化である。IT化に向けて法改正もあり制度改革も徐々に充実を目指し努力されているようだが、それが本格的に機能して行くのはこれからのことである。登記制度は、固定資産が重要な役割を果たす発展途上国型経済においては重要な制度であったが、不動産の証券化に見られるように機能資本が主役となるような先進型の経済においてはその果たす役割も異なってくる。蓄積された富のシンボル、不動産権利証も、取引コストのかかる個人財産の単なるシンボルということになるのかも知れない。登記のIT化はこのような変化した時代を背景としているのである。そして、そのIT化の狙いと言えば、手続コストの削減なのであるから、司法書士にとっての利益に結びつくかといえば決して楽観は出来ないだろう。

もっとも、訴訟関係7、登記3という私の事務所の受託事件の配分がただちに正しいものと思っているわけではない。商業法人含めた登記業務の行方を見定めつつ、4〜5年後には登記5、訴訟関係5の配分にはして行きたいと考えている。何故なら、司法書士の訴訟代理権といってもその職域の範囲は極めて制限的であるし、ロースクールや弁護士増員という流れを考えればそれも無理はない。司法書士訴訟の役割の本体は、手数料が安ければ安いほど好ましい消費者破産や債務整理ということで良いのである。また、それをこそ国民は認定司法書士に望んでいるのではないか。

私の事務所の裁判事務への転換は1998年、今から7年前の1月、夕刊紙「日刊ゲンダイ」に価格入り自己破産の三行広告を打った時から始まる。このころは月に一件ほど勉強を兼ねて自己破産の代書をやっていた。そして2年後特定調停制度がスタートする。これを機に特定調停の代書依頼が急増する。そして2000年10月、法律扶助協会が発足し、以後、自己破産事件代書も増える。2001年にはついに破産調停の受託案件数が登記を上回るようになった。ついで2003年、認定司法書士となり債務整理事件が事務所の主要な仕事となったのである。2005年の今日まで、安い費用で一体何人の多重債務者を借金の泥沼から救ったか、2000人は下らないのではないかと思う。登記司法書士から認定司法書士への転換、この7年間、既得権にしがみつく同業者や縄張りを荒らされる特定グループ、一部弁護士や司法書士からの、私への非難中傷も多かった。

結局、彼らに言いたいのは、いくらの費用で一体何人の多重債務者たちを借金地獄から救済したのかということだ。7年間の道半ばで闇金が登場してくるのだが、私のことを陰で非難する前に、積極果敢に多重債務者問題に取り組んでいれば、闇金被害も早期に抑止することが出来たはずである。多重債務者たちが求めているのは救済の結果であって、それ以外のものではない。

 
 
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