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  司法書士試験受験生よりの便り 6
 
 
 

5番目の質問である。

「ロースクールが設立され、数年後には弁護士が増員されるそうですが、簡易裁判での司法書士のニーズは変わらないのでしょうか?」

これはまず、簡易裁判所取扱い事件への法的解決につき、国民の需要は、増えるのだろうか、減るのだろうかと考えて、もし増えるのであれば、その担い手となるのに相応しいのは、司法書士であろうか、増員された弁護士なのであろうかと考えてみる必要がある。

TV法律相談所などの最近の人気を見れば、日常のトラブルへの法的解決を求める国民の声は強いし、司法機関への利用についての要望も小さくはない。そうすると請求額140万円以下の民事事件を担当する簡易裁判所への紛争解決に対する国民の需要は、極めて大きいだろうことが予想される。予想されるというのは、実務の現場では、東京簡易裁判所のスケジュール表を見れば明らかなように、必ずしも簡易裁判所の法廷が十分に国民に活用されているようには見えないからである。現在でも、東京簡易裁判所で見かけるのは8割がたは消費者金融会社の許可代理人の社員の姿であり、弁護士を法廷で見るのはまれであるし、認定司法書士に至っては月に一度見かければよいというレベルである。

ということは、簡易裁判への国民のニーズ、例えば利息過払い金への返還請求などをみれば明らかなように、量的にも実際には大量なニーズがあるのに、弁護士や司法書士の側がむしろこの需要に対応していないと言うことが出来る。多重債務者の救済への要請に資格者達はあまり熱心ではないようなのである。

この原因は、普通の若い弁護士にとってみれば、簡易裁判所での日常の小さな事件など魅力がないし、手間と報酬を考えれば簡裁事件にはいきおい消極的にならざるを得ない。一方、長年、登記業務に専念してきた司法書士にとってみれば、前回、述べたように、争訟性のある事件の法的解決については得意ではない。それで、法廷よりも、法解釈とその適用が問題とならない公的示談のADRや成年後見分野に目が行ってしまうことになる。これが簡易裁判所をめぐる資格者達の現在の実情であると私は思う。

ということは、司法書士であるか、弁護士であるか、それには関わらず、現在の簡易裁判所に対する潜在的な国民の法的需要を顕在化し、その事務を採算ベースに乗せることに成功出来た資格者の集団こそが、ロースクールの設立や弁護士増員の問題とは別個無関係に、市民社会の少額事件市場における主役となって行くことになるのだろう。

それが、はたして明日の認定司法書士なのか、増員弁護士達なのか、それは分からない。それを決定する要因は、供給側の提供するサービスの質と価格であり、その選択権者、決定権者は、国民、利用者なのである。

オレオレ詐欺や振り込め詐欺などが跋扈するのは、実は、この国の前近代性、市民社会の法的未熟さを証明するものに他ならない。権利義務の存否を確定するのは裁判所であるから、法廷外での請求は一切拒絶するという常識が、国民に定着していればこのような詐欺師が活躍出来るはずもないのだ。市民社会やメデイアを意識して、司法書士会も弁護士会も、消費者問題や市民の日常生活トラブル解決への積極姿勢をアッピールすることには大変熱心だが、簡易裁判の実情、市民の法的権利の置かれた状況は上記の如くなのである。

しかし、認定司法書士の中には、債務整理関係だけの仕事で、開業二年目にして早くも月100万円の売上げを上げられるようになってきた司法書士(35歳)も現れて来るようになって来た。私としては、巨大な多重債務者の生活更正の援助ビジネス市場を前にして、手探りで事務所運営を展開している開業間もない認定司法書士を、実務経験経営につき多角的に側面より支援し、国民の法律生活において、認定司法書士が、弁護士とは異なる法律家として、独自の役割を主張できるようになるよう努力したいと思っている。

 
 
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