7番目の質問
「資格取得前に人脈がなくても、補助者として働きながら人脈を広げることは可能でしょうか」
登記では、在来型の補助者の仕事は、関係書類を得意先から受取り、登記申請書をパソコンで作り、登記所に申請に行くというようなものであった。特定の事務所に補助者として働きながらその特定の事務所を通して将来の得意先につながる人脈が広がるということはない。
補助者仲間というのは出来て、合格後、実務面での情報交換には役には立つだろう。しかし独立してから役に立つ人脈ということでは、司法書士業界以外の人ということになる。ここに船井総合研究所というマーケテイングコンサルタント会社から送られて来た「行列ができる司法書士事務所への道」というパンフレットがある。そこに、東京の「独立から3年で20名を超える組織を作られた福田先生」の話が出ているが、独立当初の営業活動について、「西新宿のワンルームマンションで始めました。不動産会社勤務時代に培った人脈をベースに、新規開拓にもかなり力を入れ、人材にも恵まれてクライアントも増えてきました」と福田先生は述べている。
定年の銀行員課長が在職中の人脈を活用して各支店からの大量融資案件を得て2〜3年で大事務所となった例も過去にはあった。しかし同パンフレットで船井総研のコンサルタントは「不動産会社や金融機関から受動的に仕事をもらっている下請型の事務所は危ない・・下請型は楽ですから特に努力しなくても、これまでは仕事がきたんですよ」と言い、続けて「ただ今後起ころうとしている大きな変化には対応出来なくなる」とも述べている。
これに対し福田司法書士は「大手クライアントに評価され、経営が安定したとしても、やっぱり『下請け、業務代行』的なんですね。・・とにかくこの状況から早く脱却したいと考えていました」と言う。「資格取得前に人脈がなくても」人脈は独立してその営業活動の中から広げて行けば十分であり、事務補助者時代に人脈を広げるなどという期待は百害あって一利なしと言っても言い過ぎではない。それよりも補助者時代には勉強に専念し一刻も早く合格することが重要なのである。
先の総選挙は小泉劇場への喝采の内に幕を閉じた。涙の亀井、伝統愛「国」派に、ホリエモンは想像以上の大健闘ぶりを示し衝撃を与えた。国民の意識が間違いなく流動化し、明治以来の擬似近代主義により形成された伝統的価値観が溶解し始めているのである。
司法書士業界も同じで、大競争時代の中で大変動が起こりつつある。9月末の連休には、奈良の飛鳥に行って律令国家時代の遺跡を見に行く予定だが、考えてみれば不動産の所有権の内容と利益の帰属の問題は、律令国家の解決すべき問題でもあった。登記制度はなかったが、不動産の所有権の問題は律令制から幕府時代に至るまで訴訟手続きで処理されていたのであった。情報革命と規制改革、自由競争時代の到来で、これまでの登記形而上学ばかりではなく、登記制度そのものが揺れている。
現在の司法書士事務所業界を調査した船井総研のコンサルタント真貝氏は言う。「(司法書士業界は)間違いなく二極化時代に踏み込みましたね。ここ最近では司法書士業界も何かと自由化・規制撤廃が進みましたが、その中でマーケテイングに積極的に取り組まれた一部の先生は飛びぬけたようです。一方で、残りの先生は、何かやらなくては・・という想いがありながら、ずっと何もしていないという状況ですね」。
これに対し福田司法書士は「ここ最近は一般的な登記業務から債務整理まで価格下落の傾向が顕著にあります。・・条件のよい仕事は減ってきています。これからも減る一方でしょうね」と応える。さて、私が小泉竹中信奉者であると誤解されると困るので言っておきたいのだが、衆議院3分の2を占めることになった小泉劇場の勝利だが、これを見て直ちに憲法改正、軍国主義、全体主義への始まりと短絡的結論を叫ぶ人達がいる。私はそうは思わない。実利主義日本人の絶対平和主義への刷り込まれた感情を溶解させて、それを制度にまで高めるのは、それほど容易なことではない。豊富な情報媒体を通して、実利的人民はもっと賢くなっているのである。 |