提携弁護士・提携司法書士問題
クレサラ世界が変貌する中で、一時、弁護士、司法書士業界では「提携弁護士」「提携司法書士」問題が大問題となった。金に困った営業能力の無い弁護士や司法書士の一部がその看板を貸し、金と営業に長けた無資格者と提携し報酬を無資格者らから得るというのが「提携」弁護士司法書士だが、その営業の手段としてサラ金から多重債務者リストを不正入手したり、依頼人から法外な報酬を得るというようなことがあるので、業法や弁護士法の目的である消費者、依頼人保護の点から問題となった。しかし、この問題の根は、実は、閉ざされた前世紀30年間の法律事務サービス市場の構造にあったのであり、そのような構造が解体すれば自然に無くなって行くものであった。なぜなら、整理屋と提携した弁護士や司法書士、そして整理屋の分け前と利益の源泉は、弁護士団体、司法書士団体の価格への不明朗さ、価格競争回避体質、独占高価格にあったのであり、これらが公開され、消費者国民の前で、堂々の価格サービス競争が展開されれば、そのような中間者が利得出来る機会は自然に失われて行くのである。実際、最近では、提携弁護士、提携司法書士による利用者からの提携弁護士、提携司法書士への被害の訴えはあまり聞かれなくなった。むしろ資格者に対する説明責任不足、業務の怠慢、これらに対する苦情の方が多くなっている。これは、専門資格者のサービスの内容が国民の前に明らかとなるにつれて、当然に生ずるものであり、こうした消費者からの批判によってこそ、サービスの質は改善されて行くのである。
悲しき非弁老人
一時、業界に蔓延した「提携」業界追放運動は、既得権者からの資格事業者への競争抑圧、営業活動抑圧の手段としても用いられた。その結果、まじめな市民グループによる多重債務者への救援活動にも萎縮効果を及ぼした。どこの世界においても利害関係人の振る正義の旗はうさんくさいのである。4月12日のサンケイスポーツの社会面に以下のような記事が掲載されていた。この事件はTVでも報道された。
「安い費用で自己破産の手続きをします−。そんな誘い文句で、わらをもつかむ思いの多重債務者を集めていたニセ弁護士が捕まった。大分県警生活環境課と別府署に弁護士法違反(非弁活動の禁止など)の疑いで逮捕されたのは、別府市光町の法律相談所経営、上野戸喜男(74)と同市鶴見の事務員、西山信子(48)の両容疑者。2人は法律相談所の上司と部下だった。調べでは、2人は昨年5月から今年2月にかけて、大分県の多重債務者の男女6人に自己破産の手続きを教え、必要な書類を作って報酬約50万円を得るなどした疑い。“被害”に遭ったのは20〜50代の女性4人と30〜50代の男性2人の計6人。上野容疑者は1人1人に、サラ金などとの取引履歴や資産目録、免責申立書など自己破産手続きに必要な約20種もの書類を作成。6人全員分の書類が裁判所に受理された。さらに申し立て受理後に行われる破産審尋などには“サポート”として同行し、書類の補足説明や不足資料の提出などを行っていた。別府署によると「6人のうち数人は免責が確定している」という。ニセ弁護士の仕事場は2階建て木造アパートの一室で、上野容疑者の自宅も兼用。従業員は西山容疑者のみ。高収入の弁護士宅とは思えない“事務所”で、上野容疑者は1人当たり約15万円で必要書類を作成していた。通常、弁護士や司法書士などの専門家に依頼すると30万円以上かかるのが相場。捜査関係者は「県内の多重債務者の間では『安く手続きができる』と好評だったようだ」と、その人気ぶりに驚きを隠せない。相談した多重債務者からは感謝こそあれ、苦情は出ていないという。そんな“敏腕弁護士”も最後にはボロがでた。昨年9月、6人の1人である30代女性が借金の取り立て対策で、上野容疑者を頼ってやってきた。困り果てた上野容疑者は女性と別府署に相談に訪れた際、「法律相談所 上野戸喜男」との名刺を同署員に手渡した。「相談内容が法律のプロとは思えない…」と不審に思った同署が内偵を開始、今回の事件が発覚した。別府署によると2人とも容疑を認めており、余罪や動機などを追及している。上野容疑者は1人暮らしで「法律は独学で学んだ」と供述しているという。・・・」
この逮捕を不当違法とは私は思わないが、庶民感情からすれば何とも割り切れないという思いを誰でも抱くだろう。 |