サービスのうちで、専ら知識を売っているようなビジネスの対価というものの決定は難しいです。原価はいくらかと言えば、資格業の場合は、その独占資格を得るについやした金額を稼動期間で割り、時間あたりの原価を出す・・というのも少しおかしいですよね。
私は、司法書士や弁護士の手続き報酬をわかり易くするために「手数料」という言葉を使っていますが、本当は「報酬」というのが正しいでしょう。手数料という言葉は多分に労務の提供というニュアンスが強く一回性の仕事という印象があります。
実際、司法書士の代書も、裁判書類の作成というのは、その仕事のほんの一部を占めるに過ぎず、相手方との折衝や調査、依頼者からの様々な相談への対応が主たるものとなっているのです。従って作業部分と判断部分を分ければ判断部分が主たるものとなり、その積み重ねの結果として一定の成果を出して、依頼人に利益をもたらすことになります。ですから、依頼人に代わって依頼人の利益を獲得するという包括的な仕事ですから、手数料というよりも、その利益獲得に対する「報酬」と言った方がよりふさわしいことになります。弁護士の場合、刑事事件で検事側請求の懲役刑を何年弁護人が短縮したか、これが報酬の基準となりますが、これも依頼人の利益が基準ということになります。
そうすると、「報酬」決定の基準は、どれほど手間がかかったかということよりも、つまり労務の対価というよりも、「得られた利益」の大きさが基準となるでしょう。例えば債務整理なら500万円の業者請求が、300万円となり、60回の分割となれば、200万円の減額分と期限延長の利益が、依頼人が獲得した利益で、報酬はその利益に対して支払われるということになります。
様々なコンサルタント業等知識サービス業の発達している欧米ではこうした報酬基準が明確で、依頼者も無形の知識サービスに対し報酬を支払うのは当然という意識がしっかり定着しています。知的財産権尊重という考え方が生活慣習となっています。
しかし、日本ではそのような知識サービスは、水と空気と一緒に減らないもの だから無償というような意識が根強いし、その反動で、その知識サービス報酬を確保するため、本来依頼人の安全を確保するために与えられた業務独占資格が、強力な報酬価格のカルテル、業者間価格協定となったりします。昨日までの司法書士界、弁護士界がそうでした。 |