知識サービス業の場合の報酬基準は成功報酬が原則であると述べました。しかし、知識サービス業の内容は様々で当事務所のように確定料金としているところもあります。
結局、知識サービス業のコストを決める基準は一義的には決められないということです。そのようなものですから、依頼人との報酬をめぐるトラブルもおこりがちとなります。コストの目安が一般の方には分からないので司法書士や弁護士からいくら請求されてもそれが高いのか安いのかさっぱり分からないということになるわけです。
とすれば、取り引き価格の市場における相場というものが、利用者の選択する唯一の価格の目安ということになります。であれば、供給側の司法書士、弁護士の側から、利用者にサービスの内容と価格が十分に示されていて、利用者はそれを容易に選択できるような、競争的市場の存在が不可欠です。しかし、日本では士業の広告規制が廃止されたにも関わらず未だに資格業ビジネスにおいては競争市場が未発達で、競争の結果形成される相場価格というものがありません。
そのため、後進国並みの二重価格などが存在したりしています。例えば東京弁護士三会は、自己破産一人40万円という価格を出していますが、これには拘束力が無いので旧来の報酬基準で請求する法律事務所も少なくありません。その価格は60万円から70万円です。
東京弁護士三会の出した基準価格は本来、消費者の利益を考えて公開されたものですが、この価格の根拠も思いつきの域を超えたものではありません。もともと初めに述べたとおり原材料や労賃、物流コストなどからコスト計算しやすいモノとは違って、知識サービスの適正原価計算などは不可能なんです。
ですから、このような知識サービスの価格は、十分に開かれた競争市場において決定されることが本質的に重要なのです。開かれた市場において選別淘汰され生き残った相場価格を基準とした価格こそ、正当な価格なのです。
ですから、東京弁護士三会の出した基準価格も、市場における国民の選択を受けていないという点で厳格には独占禁止法違反を問われても仕方ありません。何故なら、その基準価格が今度は下限となる作用を引き起こすからです。 |