代書屋の仕事を見て、こんなものなら俺でも出来るというお客さんは少なくないのですが、そのことは、供給者側の価格の設定と、利用者側の選択とは全く関係ないことです。
知識サービスの選択においては、そのサービスによって得られる利益と失われる機会費用のコストを冷静に判断することが重要です。簡単な役員変更登記を例に価格設定の仕方を前回書きましたが、利用者側の「機会費用」を基準としながら、競争要因を考慮しつつ価格を最終的に決定します。サービス価格決定の基本はこれに尽きると思います。
競争要因とは同業司法書士との価格競争で、たとえ「機会費用」基準を満たしていても、他の司法書士がそれよりも安い価格でサービスを提供していれば、想定した「機会費用」を割り込んでも、利用者の選択を得るためには、その競争要因を優先して価格を決定せざるを得ず、そうなれば、事務所の効率性を高めるとか経費を削減するとかして価格優位性を確保しなければなりません。
それによりサービスの質が劣化すれば市場から追放されるということです。
そして、そのような競争をとおして、利用者、消費者は質が良く安い価格のサービスを得ることが出来るのです。これが消費者主権の社会です。
次に、重要なミクロ経済学の基本概念は、情報非対称性という概念です。中古自動車のデイーラーと購入客とでは、車に関する知識(情報)量は圧倒的な差があります。これを、情報非対称と言うのですが、司法書士と依頼人との関係も、弁護士と依頼人との関係も全く同様の関係にあります。
この情報非対称性から来る購入客、利用者の危険はどうして防ぐことが出来るでしょうか。勉強して情報不足を補うのでしょうか。
そうではありません。中古自動車デイーラー(専門家)同士が、顧客を前にして完全競争することで、顧客は車(製品、サービス)に関する情報がなくても満足な結果を得ることが出来るようになるのです。 |