過払金返還請求の手続き
カードローン利用者の皆さん こんにちは
① まずは、さっき弁済後に出て来た領収書の「基本契約締結日」(貸金業法18条1項2)の記載を見てください。
そうすると、5分かけなくても、十秒でその契約による取引が過払になっているかどうかの目安がつきます。
何故なら2010年6月1日の出資法の改正以降は、消費者金融業者は、年利20%以上の金利をとると5年以下の懲役・1000万円以下の罰金が科されることになったために、この日以降の、カードローン契約は全て適法金利となったからです。つまり、2010年6以降にローンカード契約をした方達には過払金(利息制限法違反を理由とした過払請求権)はありません。
ですから領収書は、業者ATM内には、ゴミ箱が、今すぐ捨ててほしいと言わんばかりにありますが、それは捨てないで、今すぐ見てください。
そしてあなたのカードローン契約が、2010年前の契約であるかどうかを見てください。見本は2004年ですから、当然、過払いの可能性はあります。ただし、業者の領収書によっては、この記載のないものもあります。その場合には調べることになります。
② 領収書を見てみると、2010年以前の契約であることが分かった。
あるいは、領収書からの記載では分からないが、それ以前から、取引があった様な気がする、7年前に返済した、5~6年前に返済した、カードは捨てた、思いだすのもいややといった人たち、でも戻ってくるのか、どうしたらわかるのか、簡単に、それをともに考えて行きましょう。
③ では今から、行動の第1、貸金業者から、あなたとの貸し借りについての全取引に関しての履歴を取寄せます。手続きは簡単です。
この消費者金融業者への債務者の情報受領権は、貸金業法19条の2で定められ、保障されており、業者は債務者からの取引履歴の請求を拒むことは出来ません。
また、重要なのは、この取引履歴を業者から取り寄せたからと言って取引が停止されたり、ブラックリストに掲載されるといった不利益は一切ありません。
ただ、貸し金業者にとっては、過払金返還は大きな損害でもありますから、時間をかけたり、いろいろなことを言って取り合わないことがあったりすることもあります。その場合は、弁護士や司法書士にカードローン取引についての全取引履歴の取り寄せを、「履歴取り寄せについてのみ」を依頼してみてください。通常頼んでから一カ月前後で、消費者金融業者から取引履歴が届く予定です。
取り引き履歴の取り寄せのみに委任事項を特定しないと、弁護士、司法書士は、債務整理や過払金請求があったことと誤解して、事件介入通知をあなたからの委任状の写しと一緒に、消費者金融業者に送ってしまいます。
そうすると、それを受けとった業者は、その債権への催告をストップすると同時に信用情報に事故案件として公開します。その結果、カードローンの利用者は他からの借入が出来なくなり、ETCなども使えなくなります。大変な事態に至るわけです。
ですから「資格者に取り寄せを依頼する時には、必ず取引履歴のみを依頼してください。」
④ 送られてきた取引履歴は「見本1」のようなものでかなりボリュームもあります。
この取引の履歴を見て、旧利息制限法に基づいて再計算するのです。この再計算ソフトは市販されており、御自分でもできます。その再計算の結果は「見本2」のとおりです。
(この取引履歴の取り寄せと旧利息制限法による再計算の事務については、当事務所でも受け付けております。カードローン契約一件につき、2400円⦅全国共通 別途 郵送料、消費税⦆です。取引履歴書、再計算書お引き渡し時に清算です)。
⑤ 再計算の結果、過払金と法定の加算利息が出ました。
その合計額をもって業者に「電話で聞いても良いですし、請求金額と振込先を書いて内容証明で送っても良いでしょう」。
相手方業者からは必ず返事がきますが、しかし業者は、値引きや支払い条件について和解案を示してきます。そこで業者とあなたとの話し合いがつけばこれで一件落着なのです。
⑥ しかしそう簡単にいかない場合もあります。実は大半はそうです。何故でしょう。
過払金返還請求事件のことを、法律的には不当利得返還請求事件といいます。
そして、過払金請求事件のもととなる、過払金の生ずる利息制限法違反の継続的金銭消費貸借契約というものは、大体、15年20年といった取引が多いので、取引の道中、実にいろいろなことがあり、そのことが法律上の争点となります。
様々な争点にはこんなものがあります。
契約の分断 契約の切り替え 和解契約の無効 17条18条書面をめぐるみなし弁済の問題 特段の事情 支払い停止の存否 店頭取引 非債弁済 おまとめローン 相殺 時効消滅 期限の利益 充当合意の消滅 公訴権の濫用 不当訴訟 等々。
⑦ 認定司法書士、弁護士にたのむ
ということで、利息制限法による再計算を含めて、消費者金融業者への過払金の請求は、認定司法書士や弁護士に依頼することになると思います。
見本の取引履歴開示書のように、送られてくる取引履歴は、内容もボリュームがありますし、市販のエクセルで再計算しようにも実際には入力に手間がかかります。せっかく努力して再計算して出た結果の過払金を業者に請求しても、業者は⑥のような論点を主張したり、会社は赤字だから三割返済と値切って来たりなかなか面倒なのです。
そこで結局資格者に頼んだ方がいいということになる。しかし頼むときには重大な注意点があります。
⑧ 頼むときには、取引履歴を取寄せて利息制限法で引き直し再計算した正確な残高を、まず教えてもらい、その残金額をあなたが確認してから過払金返還請求を依頼する事です。
何故そうするかというと、事前の残高調査確認をしないと、認定司法書士、弁護士は、あなたからの大雑把な債務についての情報を聞いただけで、あなたから委任状とその署名を得て、その債務整理受任の通知を消費者金融業者に送ってしまいます。
それを受け取った業者はあなたへの催告はストップしますが、直ちに事故案件として信用情報の掲示板にその旨公開します。いわゆるブラック情報の公開です。
つまり、あなたが依頼する案件を、事前の残高確認を依頼しないで、資格者に依頼した場合、実際には過払となっていたことが後に分かったとしても、あなたには実は業者に対し債務が無いのにかかわらず、債務不履行者として扱われ、ブラック扱いされ、他の全ての金融取引、NTTの料金の支払いやETCに至るまで、全てストップされてしまうからです。
ですから、資格者に過払金返還請求を依頼する場合、TV・CMでお馴染みの資格者事務所に依頼する場合であっても、有料無料を問わず必ず事前に正確な残高を明示してもらい、その上で依頼する必要があります。そして事前調査で分かった残高を確認し、あなた自身が考え選択した上で、業者への返還請求を含む債務整理を、資格者に依頼しなければならないのです。
⑨ そうして、正確な債務残高を確認した上で、債務整理(過払金返還含む)を資格者に依頼する
そうすると、過払金返還請求だけの場合にはブラックになりませんし、しかし、その中に債務残高のあるものが一社だけでも含まれていれば、過払金の見込まれる債務がたとえ一社だけあったとしても、債務全部の債務整理をたのべば、過払部分含め全部が事故扱いとなり、全部が取引停止となります。その結果、他からの借入もできなくなります。ETCカードも使えなくなります。
しかし、事前に正確な債務残高が分かっていれば、過払金返還のみを依頼し、残債務のあるものは除いて過払い請求のみの債務整理を依頼し、取引停止を避けることも出来ます。返済された過払金であとで他の債務を整理すればいいのです。
⑩ こうして、資格者があなたを代理して、いよいよ過払金返還を消費者金融業者に請求することになります。
普通、資格者代理人は、まず貸金業者と、過払金の返還についての返還額の交渉を裁判外ですることから始めます。認定司法書士の場合は、代理できる返還請求金額が140万円以下となっており、その請求額が140万円超となっていれば、本人訴訟(裁判書類 訴状の作成)を認定司法書士に依頼することになります。弁護士の場合にはそのような制限はありません。
⑬ なお、認定司法書士であるか、弁護士であるかを問わず、普通行われている裁判外での請求は、実は避けた方が良く、返還を早めるために和解で解決をするにしても、やはり法廷において請求することを条件に、代理人にその費用を聞いたうえで債務整理を依頼することをお勧めします。
裁判外での話し合い解決を依頼すると、認定司法書士の場合は、事前に残高を確認せずに自分都合で請求額を代理権制限の140万円以下に抑えたり、業者と談合したりする可能性があり、弁護士は代理人として業者から返還される金額を自分の預金口座に振り込ませることが出来るので、ミネルバ事件の様にあなたの返還金を横領することも出来、いずれも裁判外での解決は不透明でリスクも高いのでお勧め出来ないのです。
⑮ このようにして,裁判所で和解書又は判決をもらい、そこに書かれたあなたの預金口座の振込先に、消費者金融業者が、あなたの過払金を振り込めば、これで手続きは終わりです。要する時間は2~3ヶ月と考えておいてください。
以上が、過払金返還請求の手続でした。
(債務者の情報受領権含め以上のような手続きは、資格者含めほとんどメデイアのCM、インターネットの資格者ホームページでも明かにされていません。
それは、債務整理依頼によるブラック情報の公開、そして取引停止を恐れる債務者の心理に着眼した貸金業者の過払金返還を抑制しようとする作戦と、
反対に資格者はその債務者の恐れを利用してたとえ過払であろうとそうでないとに関わらず依頼人と報酬をあらかじめ確保したいという心理から来ているのです。
債務者の情報受領権⦅債務残高を事前に知る権利⦆は、貸金業法改正と同時に規定された債務者の権利ですが、それは債務者に今でも明らかにされていません。資格者の中にはそれを知らない人も沢山います。広告している資格者の事務所のどこにでも直接聞いてみてください。そのことはすぐにわかるでしょう)。