過払金の正体とはこんなもの

過払金の正体 

 

過払金とは、利息制限法を超えて(年利18%以上の)余計に支払った金をカードローン会社から返してもらうその返済金のことを言います。法律的には理由無く多く支払ったのですから、それは受けとった業者が当然に返すべきで、債務者の返還請求権を不当利得返還請求権といいます。

 

三法(利息制限法、出資法、貸金業法)の改正のあった平成18年 2006年から、それ以前に契約したカードローン契約では、契約以後に取引した借り入れ返済はすべて利息制限法違反となり(出資法の改正された2010年、平成22年6月以後の新契約ではすべての業者が適法金利内となりました)、いつでも業者に請求すれば、利息制限法により再計算して出てきた過払金は業者に請求すれば返してもらえます。

 

確かに。しかし、5分で分る過払金などと派手にTVCMしている割にはいまだに、知らずに過払いであるのに支払い続けている人たちが全国に多いのですが何故でしょうか。

それは、全く、信じられないようなことに原因があるので、皆さんは、それを知ればあきれてしまうとおもいます。

それは、第一に、消費者金融業者だけではなく、およそカードローンのキャッシングについて、返済したときに出てくる領収書の記載が、以下のようになっているからです。

 

業者標準領収書(A社の場合)

 

 

 この証票、「キャッシュサービスご利用明細票」は、現在、全国の消費者金融業者のATMから、債務者が弁済する都度、排出されてくる支払いの領収書です。記載事項は共通したもので、法定されていますが、注目すべきなのは「ご利用残高」欄、「次回返済期日」「次回返済金額」の三つです。

 

 ATM利用者の皆さんは、この領収書に示された金額を正しいものと信じて指示された「次回返済金額」を、指示された「次回返済期日」どおりに、毎月、返済をしているのです。

 

もちろん、ATMの利用者は、この表記が間違っているとか、不正なものとかとは全く考えていません。消費者金融と言っても、いずれも上場している立派な企業なのですから、その表記に間違いがあるなどとはATM利用者も全く思わないのです。

 

 しかし、実はそこに落とし穴が、問題があるのです。特に表示されている「ご利用残高」の金額には問題があります。ここに表示されている残高は約定の、つまり契約時の金利により通算した金額です。そこに問題があります。

 

改正貸金業法が完全施行された後、2010年、平成22年以降に締結された、利息制限法以下となった新規カードローン契約による取引においては、その結果としての利息制限法内の金利計算による債務残高であれば、表記された「ご利用残高」の金額には、何の問題もないし正しい金額です。

 

 ところが、それ以前、2010年、平成22年ごろ以前に締結されたカードローン契約の金利はほとんど利息制限法に違反しています。その場合、消費者金融業者は、利息制限法に引き直さないまま、利息制限法違反の金利のままで通算した結果を「ご利用残高」として表記しているです。

 

 そうですから、見本訴状及び計算書の依頼人Aさん(現在79歳)の様に、実際は、取引の88回目、昭和61年3月7日には完済となっているのに(47歳ごろ)、この時の領収証に記載されていた約定の残高は56万9189円になっていました。そのために、その後の取引では過払いとなり得るのですが、ご本人はそのことを知らないまま取引を続け、その後、取引は通算676回となりました(契約からの取引の合計は764回となる)。

 

令和2年2月になって、Aさんは、司法書士にに嘱託(依頼)して債務残高調査をすることになり、領収書の「基本契約締結日」の記載を見れば、1981年、昭和56年5月1日が基本契約締結日なので過払いが明らかでした。そこで、翌月以後の支払いをストップしましたから、その日、令和2年2月26日の支払い、取引が、最後の取引となりました。

 

それから半年後、依頼人は、司法書士から報告された「残高調査」の結果を見て、司法書士と相談の結果、本人自らが、令和2年8月に、不当利得返還請求訴訟を地方裁判所に申し立てることになりました。そして、依頼人は、その訴状の作成を司法書士に依頼することになったのです。(見本 )

 

昭和61年に完済となっているのに、その後、令和2年になるまで、取引を利用者が続けたのは、冒頭に示した「キャッシュサービスご利用明細票」の指示に従って来たからなのです。

 

又、注目すべきなのはこの764回の取引において利用者には過払いとなる前に延滞が全くないし、過払後においても延滞は少ない。過払いになっていても業者は直ちに催告して来ますから過払金請求権者の延滞の少なさはそれもあるのでしょうが、過払金被害者の延滞の少なさは特別のことではありません。(過払いを知らずに払い続けている人達の取引履歴を見ると、延滞する人が少ないことに驚かされます。日本人的生真面目さをもって、わき目もふらずに、TVCMの宣伝も信じずに、業者の「利用明細票の数字」をもっぱら信じて、約定残高が0になるまで今でも払い続けている、そういう人たちが全国にいて、このままでは、その人たちは、過払金返還請求権の時効消滅を待っているようなものです)。

 

一方、相手方の業者は、この高齢者に対して平成22年ごろから令和1年8月まで利息制限法違反の金利27・375%を、利息制限法に引き直さないまま、収受利得していたのです。

 

特に、平成22年7月6日(647回)(69歳ごろ)から最終取引(79歳頃)(764回)までの10年間、117回の取引においては、このATM利用の高齢者は、もっぱら残高を減らすための支払いを、求められるままに続けていました。その間に、余分に支払った金額は、実に151万6千円になります令和2年2月の最後の取引においては、利用者の「キャッシュサービスご利用明細票」を見ると49万1350円の約定残高が表示されていましたもし司法書士との出会いがなければ、今でも、79歳の依頼者の方は、毎月、欠かさず雨の日も雪の日も欠かさず返済を続けていたでしょう。

 

ちなみに、このATM利用者の不当利得返還請求の趣旨の金額は790万4738円、悪意受益者の法定金利5%込みでの計算では1232万770円の返還請求額となっています。

 

ここに実例として示した過払金返還請求訴訟の場合は、通常の過払金の返還請求額に比べて、不当利得返還請求額は多い方に属するものですが、それを例示したのは、もし今回のように返還請求をする機会がなかったら、債務者から、その失われるであろう損害金額が極めて大きいことと、延滞もせずに、完済になって以降、676ヶ月も律儀に金融業者と取引し、特に、最後の10年間は、117ヶ月にわたって、支払わなくても良い金員を業者に支払い続けていたこと。このようなケースが、改正貸金業法施行10年後現在での過払い事件では多くなっているのです。

 

特に注意すべきことは、理由もなく10年ものあいだ、毎月しなくても良い弁済行為を、毎月定期に強要されている。これはまさに人権侵害の問題ではなかろうかと思うのです。皆さんはどう思います?

 

一方、その反対に、業者は、平成20年から貸金業法が変わり利息制限法、出資法の規定も改正され、それを知りながら、利息制限法違反の金利を収受し続けていたのでした。何故、こんなことが出来るのでしょうか。

 

高を利息制限法に引き直した額に訂正しろという貸金業法に規定がないから、貸金業法の改正が無い限り金融庁は契約に干渉できないので、債務者自身が業者に請求しない限り、支払いは0になるまで続くことになるのです。

 

損害金額の多い案件を例示したのは、このような過払い事件の真相と被害の事実を示すためで、又、この債務者Aさんのように、しなくても良い返済行為を、ATMに、数年以上にわたり毎月定期にすることを強いられている消費者金融の利用者が今でも全国にいるということを皆さんには知って貰いたかったのです。

 

これでは、もしかしたら過払いがあるのかなと思っていても、大手なのだから領収書に嘘は書かないだろうと思うし、サラ金に問い合わせたり、資格者にわざわざ聞きに行ったりして、面倒なことにもなりたくないと思って、少額であればと思って返済し続けるのは当然でしょう。さて、では、

 

① TVCMやPC検索に出てくる「過払金5分でわかる」は、

「本当か?!」

 

過払金の存否だけなら「10秒で分かります!」。しかし契約時からの取引の履歴を取り寄せて、利息制限法に引き直して計算し直さない限り、本当の正しい現在の借入残高は絶対に分りません。

 

② 資格者に頼むとブラックになるというのは本当か

     本当です!!

 

弁護士、司法書士に債務整理を委任して委任の印鑑を押します。その委任状を、カード会社に送り、同時にあなたの取引の履歴を取り寄せます。すると業者からの請求は止まります。同時に業者は事故扱いとし、そのことを信用情報に公開します(貸金業法21条1項9)。これを「ブラック」といい他の金融機関からの借り入れが出来なくなります。ETCカードもストップします。

 

③ 消滅時効はいつから始まるか

 

カード取引は、いつ借りてもいつ返しても良い連続的な取引が特徴です。

ですから最後の取引、最後の弁済の時から10年の経過で過払金の返還請求権は消滅します。

 

8年前に弁済して業者のカードは捨ててしまったという場合にも、あなたの氏名、生年月日さえ分れば、今でも取引履歴を取寄せて再計算し、過払金があれば請求できます。VISAやMASTERで、今も使っていてこれからも使う予定があっても、かってキャッシングをしたことがあれば高利ですから残高を減らすか、返還請求することが出来ます。

 

④ 取引履歴は自分でとれる

 

証拠ともなる取引履歴を取り寄せることが出来るのは弁護士、司法書士だけと思っている方は誤りです。

 

改正貸金業法の19条2で、債務者が自分の取引履歴を業者に請求することが出来るようになりました。そのことを弁護士も司法書士も宣伝しないので今でもほとんど知られていません。何よりもこの債務者の情報受領権を活用することがおすすめです。

 

以下に、現在、行われている債務整理の手続と、安全な手続きの流れ図を見てみましょう。

 

                 現在行われている手続き

         ①債務整理の相談から事件受任(日本司法書士連合会指導の手続き)

                    和歌山最高裁判決による正しい手続きは

 

 

⑤ 重要なのは

何よりもあなたの正しい残高をまず知ること

 

カード取引は、リボ払いを特徴とします。長い取引ですと知らぬ間に過払いとなっているケースもあるし、インターネット詐欺にあっているかも知れないので、業者から取引履歴を取り寄せて内容をチェックする必要があります。利息制限法で引き直し計算をするのは、計算ソフトも市販されていますが、計算だけなら司法書士に頼べば、安くやってくれるでしょう。

 

⑤ 百万以上の過払金回収は裁判で

 

過払金の返還請求では、弁護士、司法書士と業者との談合や返還請求で取り戻した金銭を一部着服するようなことが起こりやすいので、できるだけ簡易裁判所や、地方裁判所を利用することを強く勧めます

 

訴状の写しに添付された計算書の写しなどからあなた自身で、あなたの正しい業者への請求額が分りますし、裁判官の前では2010年」談合は出来ません。(このことはとても重要なことですから裁判コーナーのところで詳しくおしらせします)。

 

⑥ ビサもマスターもキャッシングの金利はサラ金と同じで、

2010年前の契約であれば過払いとなっている可能性があります。

 

銀行系のカードローンが、最近では、消費者信用の世界の主役となってきています。銀行法が適用されて貸金業法はこれには適用されませんが、これはこれで又気をつけるべき問題があります。(最近の消費者信用市場の動向参照)

 

⑦ 最後の返済が7年前? あなたの名前と生年月日

 

先にも述べました。昔しサラ金と縁を切るためカードを捨てたという人も、そのカード会社の名前、あなたの氏名住所が分れば、過去の取引履歴を取り寄せることが出来ます。

 

日本だけ現象の「過払金」は、名前だけ有名になりましたが、案外、その正体については知られていません。例えば、過払金は契約が終了した時に請求できるとか誤解されている人も多いのです。

 

⑧ 過払金訴訟は、これまで多くの判決が積み立てられていて、それらの判決を知っている司法書士なら、地方裁判所での代理によらず書類作成援助で、ご本人で訴訟が出来ます(ご本人が出廷されるのですから弁護士の出廷日当や出張費もいらずコストダウンは、はかれます)。

過払金返還請求事件にも、いろいろな争点があります。

 

契約の分断 契約の切り替え 和解契約の無効 17条18条書面をめぐるみなし弁済の問題 特段の事情 支払い停止の存否 店頭取引 非債弁済 おまとめローン 相殺 時効消滅 期限の利益 充当合意の消滅 公訴権の濫用 不当訴訟 等々。

 

⑨ 本人訴訟とは何でしょうか?!

(具体的手続きは別の項で詳説します)。

 

過払金返還請求は、本人訴訟に向いています。

なぜなら最高裁判決が多数出ていることもありますし、たくさん問題があるようですが一つ一つの争点は単純です

我が国は、ドイツのように弁護士強制主義をとらず、アメリカのように、主権者である国民の意を尊重する本人訴訟が原則なのです。憲法32条がそうなっています。

是非、過払金返還請求で訴訟を経験してもらいたいと思います。裁判官がどんな人かも身近に観察できますし、司法の貴重な体験です。

 

⑩ 本人訴訟の手続き(詳しくは裁判コーナーで)

 

訴えの提起(訴状 証拠の取引履歴 計算書)→口頭弁論期日→「裁判官」「業者」「本人」の三者による話し合い→裁判所の和解案→和解又は判決→返還金の振り込み 以上で終わりです。

 

貸金業法改正から10年 これまでいろいろな事がありました。利息制限法違反の世界もいまや収束に向かってはいます。しかし新しい問題も出てきました。コロナパンデミックが社会の構造を大きく揺さぶっています。2000年代の不動産バブルの崩壊、2009年のリーマンショック、それよりも大きな、世界的な社会変動が予想されます。

 

来年になれば大手の製造業も不況となります。失業の問題が本格化するかも知れません。金融や財政政策の舵取りも信じられないほど難しい問題となって行きます。個人では住宅ローンの問題や高すぎる住居費が、ずしんと響いてくることになるでしょう。

 

借金の整理や家計の見直しの時がやってきました。返すのもそうですが上手な借り方というのもあるでしょう。

 

情報化で幕を開けた21世紀、グローバル化、利己的資本主義と金融資本が世界中を駆け巡る。

 

これからは、住まい、コミュニティー、町を中心に、連体し協同し分配することが重要になってくるでしょうね。