資格者不正なぜ起きる?

資格者不正何故起きる

 資格者不正なぜ起きる

 裁判所での解決が何故好ましいか

 

憲法第32条には国民の裁判を受ける権利が規定されています。国によって正当に構成された裁判所において、だれでも裁判を受けることが出来る、だから印紙代に見られるように裁判所の利用費用は安いのです。高いと見えるのは資格者への報酬が伴うからです。自由主義経済なのだからそれは仕方がありません。

「裁判所において、紛争を解決する」。場合によれば、代書の力を借りて本人で弁論に臨み紛争を自ら解決すること、それが、本人の利益ともなり正義であることは間違いありません(ある著名な消費者金融A社は、訴状提出後にも、直接債務者に架電し裁判外和解を強要するなどしています。これは法治主義原則に正面から対決しようとする違法な犯罪ではありませんか)。その点で見ると、消費者金融事件ほど、裁判所においての解決が好ましいものもありませんというのも、消費者金融事件における不当利得返還請求事件の場合、裁判外での任意和解においては、以下に述べるような、国民にとって不利益な問題がしばしば生じて来ていたからです。

 

まず、裁判外でのいわゆる任意債務整理手続き、裁判外和解の手続を見てみましょう。そこには、資格者と業者との談合リスクの存在が指摘されています。       

 そもそも任意整理とは、分割等による返済条件の変更や、過払い金が出た場合には、その返還を求めて、返済計画を立て、支払うべきものは支払うというもので、貸主、債権者と、借主債務者が直接話し合ってできる手続きでもあり、基本的には裁判所や特別な法律も関与しないし、手続きとしてだけ見れば、一見、易しい手続きに思われます。しかし、このやさしい手続きにおいても、現実には、債務者の交渉相手は、貸主である大企業であるし、債務者自身の申し入れや希望がそのまま受け入れられることはまずありません。

 そこで、結局、債務者は、自分の要望を相手方に伝え、法律的な観点からの要求も伝えるために、弁護士や司法書士に、代理人になってもらい債権者と交渉し、結論を出してもらおうと考えます。そしてその債務整理業務を、弁護士や司法書士に委任するということになります。

しかし、この債務整理の委任契約をするには実は大きなリスクを伴う。

まず委任をする、お任せをする当の弁護士、司法書士はプロなのですから、旧利息制限法や、旧貸金業法やそれにともなう重要な判例などの知識は、その実際はともかく、一般から見れば当然に豊富であると想定されます。その点に関しては、債務者は、資格者にその業務を、全面的に任せるしかありません。そのために、この取引構造上の非対称性ゆえに、資格者とこの債務整理委任契約を締結するには、気を付けなければならない様々な注意点リスクが存在するのです。債務者は十分に注意しなければなりません。

 

いよいよ資格者に債務整理事件を委任するには、その委任契約取引の非対称性をわきまえた、良心的な、司法書士に、その訴額140万円(請求額140万円)の範囲内で、依頼人であるあなた方の利益を最大限に計るように、訴訟による解決策を前提としての和解交渉を委任するべきですし、訴額140万超なら本人訴訟での書類作成を依頼すべきです。何故なら、判決にせよ和解にしろ、それが、裁判官の面前での決着と判決書、和解書であれば公正は保たれる》しかも、債務者は、相手方業者を面前に交渉し最後に裁判官が法的評価をして、結論に裁判官が確信を抱いた段階で、和解を勧め、あるいは判決を下す。公平公正透明な解決で、弁論に、当事者として出席している本人も結論に得心しやすい

その点からみて、原告の事務所では、依頼人の方に、その利益、安全を説明し、理解していただいた上、従来から、判決又は裁判上での和解による解決を勧めています。加えて、貸金業法事件については長年にわたり、多くの裁判例、最高裁裁判例が蓄積されてきているので、その手続きも裁判書類の作成も、それらの判決を参照すれば決して難しいものではなくなっているのです。

 

しかし、現実を見れば、大半の事務所では、法律事務所を含め、裁判外での消費者金融業者との任意和解や、債務者代理人と消費者金融業者との話し合いで、依頼人に返還すべき過払い金の返還額が決められています。その話し合いの内容や妥協案の成立過程について、債務者には、詳しくは分かりませんし、教えてくれたとしても一方的な説明で、被告の業者側がどのような要求をしたのかどうか、それは代理人の言葉を信用するしかありません。

 

消費者金融業者は、しばしば、債務整理案件の多い法律事務所や、司法書士事務所に、架電又は訪問してきて、債務者への過払い金の返還条件、例えば、返済元本の5割引き、3割引き、それに見合う支払時期の前倒しとか、そうした話を持ちかけてくることが過去によくありました。中には、あらかじめそのような申し入れを承諾しておいて、返還金の回転を良くし、報酬の回収を早めようとするような資格者もいます。これは人民の権利を食い物にした、業者と専門家の談合そのものではないかと、数年前、過払い金事件についての資格者談合が朝日新聞社会面トップで報道された(2013年3月24日社会面 髙田 英記者)こともあります。債務者が知らないところで何が話され、何が行われているのか、業者、資格者以外のものにはわからないのです(産経記事では弁護士と司法書士の過払金請求事件の提携につき弁護士会の懲戒事件となったという記事が報じられています。後に提携した弁護士は6カ月の業務禁止という懲戒を受けた)。 

 

  消費者金融業者・資格者談合

 

平成25年の春、アコム社のO課長が当事務所にやってきました。そのとき、切り出したのが、債務者への過払い金の返還条件、例えば、返済元本の5割引きなら翌月末返済、3割引きなら3ヶ月後返済といった、返済額に見合う債務者への支払時期の前倒しとか、そうした話でした。その申し入れを断った後の日、今度はアイフル社が訪問して来ました。アイフル社に対しても同様に断りました。その後の日、平成25年6月4日、アコム株式会社、同年6月24日、アイフル株式会社、当事務所への、この両者の申し入れがあったときに、同様の申し入れが全国の相当多数の弁護士、司法書士事務所に対しされていることが報道で分かりました。いわゆる資格者談合が朝日新聞社会面トップで報道されたのは、平成25年3月24日、まさにその時のことでした

 

消費者が自己に係る正しい情報を得ることは、過払い金の返還請求では特に重要ですが、これまで専門家によっても、この国民の情報受領権への配慮がなされていなかったという事は座視すべきことではありません。司法書士会による、国民消費者の情報受領権の軽視は、実は様々な不正を生み出す原因ともなっているのです。

 こうしたことを見ると、最高裁判所が、司法書士の扱う債務整理事件ついてその代理権行使対象の請求金額を厳格に140万円にしたのは良いタイミングであったかも知れません。その判決が出て以後、140万円超請求の司法書士の不当利得返還請求はすべて公開の法廷で行わなければならなくなりました。最高裁調査官が和解談合の実態を良く調査していたのでしょう。

 

 日本司法書士連合会が平成29年10月編纂した「債務整理事件処理の手引」(民事法研究会)の44ページには「過払い金返還請求事件は、その争点を争うことなく、任意交渉で貸金業者等から提示される低額の和解金額に応じれば、さほど時間を要することもなく比較的容易に過払い金の回収が出来、成功報酬も得やすい」とあり、司法書士の過払い金ビジネスの実態につき、その一端について述べています。(日司連刊 債務整理事件処理の手引き 163p 82p 72p 74p 96p 163p)

 

司法書士の場合は、請求額140万円までは、訴訟代理権があるのであるから、依頼人の了解を得て出来るだけ判決を得るようにし、回収を急ぐ依頼人なら、業者と話し合って少なくとも17条決定(和解に変わる決定)を裁判所からもらうようにするべきであるし、本人訴訟も決して難しくはないのですから、積極的に取り組み、控訴を恐れて低額で業者と談合するなどのことはもってのほかということでしょう。

弁護士に対しても同様、ここは、特に強調したいのですが、依頼人は出来るだけ判決をもらうように弁護士に依頼するべきで、和解であっても裁判上での和解とするよう依頼するべきであり、そうすれば、5%の罰金はともかく判決を前提に和解すれば元本は確実に戻って来ます。しかし、報酬の回収を急ぐ弁護士や司法書士の場合、そこまで熱心に取り組むことはありません。

報酬はアメリカのように成功報酬が望ましい。それは、報酬を得るため、勝つために、資格者も一所懸命頑張るし、判決や証拠資料の収集も熱心にすることになるからです。

特に、債務者は、これまでの返済圧力から逃れたいということで、明日からもう返済をしなくて済むとほっとしたうえに、何がしかの過払い金が、自分で積み上げて来た自分のお金なのにも関わらず、戻ってくれば、臨時ボーナスが入って来たように喜んでしまいます。

そこで本当は100万円回収できるのに代理人に言われるままに30万円の返還で裁判外での和解で納得してしまう。そんなことが珍しくはありません。しかし、これが同じ結論でも、裁判上での裁判官が決定したものであれば執行力もあるし、債務者自身も得心出来るものとなるでしょう。

日本司法書士連合会が編纂した前述の「債務整理事件処理の手引」の165ページでは「過払い金返還請求事件については、依頼者と後日紛争となることがある。その多くが報酬のことであるが、回収額が少なすぎるといった不満も現れることもある」と論じていますが、そこからは、司法書士の債務整理とその誤った日本司法書士連合会の債務整理指針の影響で、市民と司法書士間の過払い金返還をめぐる紛争が、日常的に生じているらしいことが伺えます。

しかし、実は、以上に述べて来た、債務整理に係る危険と損害は、簡単に防止できるのです。弁護士、司法書士が、債務整理を受任する前に、依頼人に代わってその情報受領権を行使し、正しい残高を依頼人に示し、依頼人とともに債務整理の方針を立て、裁判外での和解は避け、和解するにしても、争点と証拠を示して、裁判所で和解すれば、公正公平であるばかりでなく、報酬上のゴタゴタも資格者による不正も一切なくなるのです。

 

裁判外での任意整理では、債務者が知らないうちに、消費者金融業者と資格者が談合し、消費者金融業者は出来るだけ返還すべき過払い金を安くしかも返済期間も先延ばしすることによる利益を得(他に貸し付けて稼ぐことが出来る)、業者化した資格者は、報酬を出来るだけ早く得て資金の回転を良くするための利益を得るために、債務者が本来得られる利益を犠牲にして、その共通する利益を実現しようとする傾向が否定できません。実は弁護士会、司法書士会こそが、公的団体としての責務として、そのような、「業者と会員の不正な談合行為」を、一刻も早く阻止しなければならないのです。

( 公刊されている 平成29年版 日司連編纂の「債務整理事件処理の手引き」には、① 52P (誤った)「相談から事件処理に至る流れ」 ②96p (誤った)事件受任前の調査と受任 ③84p 受任で生ずる信用リスクと債務者のいわれなき受忍 がためらいもなく記載されている)

 

裁判外での任意整理和解は、実は、債務者にとってこのように大きな危険、リスクのある契約なのであって、当事務所では原則、不当利得返還請求においては、簡裁での代理訴訟、地裁以上での本人訴訟援助をその業務の柱とし、特に本人訴訟援助には、司法手続きへの国民本人の参加を勧めるためにも力を入れています。