自己破産の千葉地裁注意書き
破産宣告を受けると、次のような制限を受けます。
1 破産管財人が選任された場合だけでなく、同時廃止決定がなされた場合でも破産者は、会社の取締役や宅地建物取引業者や保険外交員や警備員など一定の職業に就けないことになります。この状態は、免責許可決定を受けない限り、原則として破産宣告後10年間続きます。ただし、破産宣告を受けても、選挙権等の公民権はなくなりません。また戸籍に記載されることもありません。
2 破産管財人が選任された場合、宣告時点で破産者が所有していた財産の管理・処分権は、原則として破産管財人に移り、破産者が自由に処分することは出来なくなります。その他、破産者は、破産管財人の業務に協力しなければなりませんし、裁判所の許可を得ずに転居することが出来なくなります。また、郵便物も総て破産管財人に転送されることになります。ただし、同時廃止決定がなされた場合には上記制限は受けません。
千葉地裁注意書きの解説
破産制度は債務者の残存財産を、債権者に平等に分ける手続きです。ですから、裁判所が注視するのは、
○債権者への配当にあてるべき債務者の残存財産で、破産申立て前に故意にそれを減らしていないか、財産隠しをしていないか、
○知り合いなど特定の債権者に弁済をして債権者の平等な権利を侵害していないか(偏頗弁済)、
○陳述書に嘘がないかの3点です。
注意書きの の1 債務の全額を配当出来なければ、破産宣告を受けても、なお残金を(一生かかっても)払わなくてはなりません。
免責の許可が出なければ、その債務は相続もされることになります。ですから、個人の自己破産の目的は裁判所から免責の許可を得ることなのです。
1の 裁判所から、申立人自身で保険の解約返戻金などの財産を債権者に配当するよう指示されることもあります。
消費者の自己破産の場合、管財人が選任されない同時廃止となるのがほとんどですが、調査の過程で財産のあることが判明した時には、裁判所の指示に基づいて債務者から直接複数債権者に平等に支払うことになるときがあります。
の1 裁判所が裁量で免責を許可しない限り、免責が許可されません。免責が許可されないと、支払い義務が無くならないばかりか、破産者としての制約が続くことになります。
免責不許可に該当する事由があっても、裁判官の裁量で免責が許可される場合があります。場合により、債務者に一定額を積み立てさせ、それを債権者に配当することを条件に免責となることもあります。
免責不許可事由がある場合、裁判所から取り下げを勧められたり、破産の申し立てそのものが棄却されることもあります。
不動産や法人の代表者であったりする場合、原則、管財人が選任されて、管財事件となることが多いです。オーバーローン不動産の場合、借金の総額が、不動産の価値の1,5倍以上の場合には、管財人を選任せず同時廃止事件として扱われます。
免責不許可事由がうかがわれる場合、東京地方裁判所では、弁護士を代理人として付けた場合に限り少額管財事件として扱われます。50万円を裁判所に予納して管財事件とするか、25万円を裁判所に予納して40万円から60万円を弁護士に支払い少額管財事件とするかは選択的です。
免責不許可事由のある場合は、債務整理で返済するしかありませんが、一定期間支払った後に、自己破産を申し立てた場合、裁量免責が認められることもあります。
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